発行文書ファイル



琵琶湖国定公園の公園計画の変更への意見


(ア 保護施設計画の追加について)


1.まず、公園計画の内容が極めて曖昧で、具体性に欠けている。そのため、詳細な検討を行うことができず、十分なコメントができない。あらためて具体的な計画を詳細に提示し再度パブリックコメントを求めるべきである。

2.湖北町およびびわ町ともに、ヨシ群落保全区域の保護地域、保全地域に指定されており、自然の良好なヨシ群落が広がり、琵琶湖岸の中でも特に豊かな生態系と優れた景観を有する地域である。このように良好な自然が残されている地域は、できるだけ人の手を加えずに保護することが望ましく、その改変についてはきわめて慎重でなければならない。それにもかかわらず専門家はもとより、漁業者および住民やNGO・NPOの声を十分聞き、検討した上での計画になっていない。また、事業を行えば、良好なヨシ帯が形成されるかの如き図を示すこと自体、まやかしといってよく、十分な説明責任をはたしているとは到底いい難い。

3.ハードの施設を作る前にやるべき事がある。

1)ヨシ帯が減退した原因についての、十分な調査解明をまずおこなうべきである。

2)北湖東岸の新海浜でも湖岸侵食が激しいため、滋賀県が突堤を建設したところ、突堤の北側では侵食がおさまったが、南側では侵食がさらに進んだと聞いている。突堤をつくればヨシ帯が沖に広がるという発想の根拠は薄弱といわざるを得ない。まず湖流、特に沿岸流の調査をきちんと行い、数値計算を行った上でパブリックコメントを求めるべきである。

3)これまで複数の琵琶湖湖岸でヨシ植栽が行われているが、ヨシ植栽により生態系にどのようなプラスの効果、負の影響があったのか、検証がされていない。ヨシ植栽事業では、通常の水位で水に浸かっているヨシが少ないことや、ヨシ帯のすぐ沖に分布する在来の沈水植物帯を破壊するなどの問題点が指摘されている。まず植栽されたヨシと天然のヨシとの間で生態的機能に違いがあるかどうかの検証を行い、問題点を明らかにした上で、生態系保全に配慮したヨシ植栽を行うべきである。

4)県のほか、国でもヨシの植栽が行なわれているが、連携が進んでおらず成果もあまりあがっていない。各機関連携の下での、成果と課題についての分析を行うべきである。

5)自然素材を使った試みは歓迎するが、その施工方法についても十分な検討が行われたのかきわめて疑問である。

6)われわれもNGOとして琵琶湖で自然回復の取り組みを進めているが、そうした教訓が生かされていない。上記の調査や分析には我々NGOにも参加を認めるべきである。

4.土木事業を行って生態系に深刻な影響が生じた場合、元に戻すことは極めて困難で、取り返しがつかない。実施するまでには上記の課題を確実にクリアしなければその責任が問われるものである。

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(イの道路(歩道)の追加について)

1.本計画には生物多様性保全の観点が欠けている。新たな登山道を建設すると、自然破壊を新たに生み出すことは明らかである。それでも必要なことなのか、混雑解消というだけでは十分な根拠とならない。

2.登山道建設工法および道幅など基本的な施工計画、および設置に伴う自然生態系への長期的な影響がまったく示されていない。

3.多くの固有の植物が自生する伊吹山の環境の特異性を考慮すると、むしろオーバーユースが問題であり、登山人口を規制する方向もふくめて検討すべきである。

4.今回の計画および伊吹山の自然特性について、登山者および住民への説明が不十分である。地元住民や登山団体などと公開でさらに話し合う必要がある。

5.混雑状況を開示すると同時に、計画地において公開で現地調査が必要である。

6.少なくとも以上のことを慎重に検討したうえで実施するかどうか決定すべきであり、このような安易な登山道建設は実施してはならない。

7.なお、伊吹山では長年にわたる石灰岩採取の醜いあとが放置されており、その自然回復こそ緊急の課題である。今後の対応についての方針を明らかにされたい。

2005.2.14
FLBびわ湖自然環境ネットワーク
代表 寺川庄蔵