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NWニュース 112号



環境ネット結成11年目へ

情勢の変化と役割を考える




代表 寺川庄蔵



 5.21「続・よみがえれ ふるさとの川」をテーマにしたシンポジウムは、100名の参加者を迎えて開催することができました。

ゲストとしてドイツから招待したアイリカ・ヘスリンガ−さんは、実際に河川改修を手がける現場の技術者として、イザール川改修計画の画像を使ってわかりやすく説明していただき、ドイツの近自然工法のすぐれたところを理解することが出来ました。竺教授の講演は、ドイツ研究時に訪れたスイスの河川改修を日本と比較しながらスライドを使って説明され、ここでも直接民主主義など見習うところが多くありました。パネルディスカッションでは2人の講師のほか、県の加本河港課長、遊磨京大生態学研究センター助教授、栗林レッドデータブック近畿研究員に加わっていただき、それぞれの意見や実践の紹介と議論をしていただきましたが、時間がなくなり会場の意見もあまり聞けなくなって時間配分など課題が残りました。(内容後記)

アイリカさんは、翌日から永源寺第2ダム予定地や、京都、奈良などを見学され26日無事帰国されました。この間、ご協力ご支援いただいた皆様に厚くお礼申し上げます。

 さて、環境ネットは来る7月6日で結成11年目を迎えます。まる10年経つわけです。これまでの歩みを振り返りますと、目標とした住民運動の情報交換、意見交換・交流、そして、一致する目標での共同行動はそこそこ出来たのではないかと思います。

現在34団体と60名の個人会員がメンバーですが、やめていった会を入れると約50団体を数えます。20世紀最後の10年間にほんとにたくさんの人が環境ネットとかかわり、何かを得て、そしてそれぞれの分野で活動し、いろいろな形のつながりを持って成長された今を見ると、良い時に結成したんだなあという思いがします。しかし、その一方では会や個人の活動の発展によって、環境ネットへの結集が弱まってきたことも事実です。

時代の流れは、ITの急速な普及も手伝って情報は加速し、環境をテーマにした情報交換・交流の組織は、「気候ネットワーク」のような全国的な組織から、県内では「湖沼会議市民ネット」まで新たな活動が広がりを見せています。また行政も「淡海ネットワークセンター」のように施設と人を提供するなど、そうした動きをバックアップする取り組みを進めてきました。満足のいくものとはまだまだ言えませんが、そうした動きをせざるを得なくなってきたことは、私たちの運動の成果であることは間違いないでしょう。

環境ネットは、こうした情勢の変化のもとで今後どのような活動を行うのか、役割は何か、いろいろな選択肢や可能性を考えながら議論していきたいと考えています。皆さんからの率直なご意見をお寄せください。







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報告     「続・よみがえれ!ふるさとの川」シンポジウム要旨

〜21世紀の滋賀の河川を考える―ドイツに学ぶ河川環境づくり〜

第一部:ドイツの河川改修と河川行政  アイリカ・へスリンガー(ドイツ・ミュンヘン市水利局)

 アイリカさんが携わっているイザール計画は、バイエルン州の共同プロジェクトで、イザール川を「洪水氾濫の防止」「自然に近い状態への改修」「娯楽や保養に適した川辺」という3つの目的をもって改修を行うというものです。

イザール川はドナウ川の支流で全長263.5km、9000k?のほとんどがバイエルン州を流れており、過去においては突然の増水と氾濫で常に河床を移動させ、橋を流して来ました。その後水流を弱めるためイザール川は、狭く固定された河床と幾何学的な断面図を持つ川へと変貌し、多くの支流を作り発電に利用されました。しかし、この状態は河川工学上、自然保護上、美的景観上欠点があることは明らかであり、イザール計画はこの問題を解消する為に立ち上げられました。

この計画の初めに”州都ミュンヘン市におけるイザール川景観の理想像」を作成し、計画内容について常にワークショップや住民集会の開催、メディアを利用した情報提供を行っています。計画は水流量の安定化を計り余裕高1.5mの堤防の高さを1mに下げる、堤防を弱くさせる原因をもつ堤防の斜面上にある木々の撤去、川と河原を再活性化させ動植物にとっても多様な生活環境が生じるように落差工や堰を見直し、流れを利用して常に新しい砂洲や中州できるような”成長する岸辺”をつくる、また真っ直ぐで単調な線を壊し、市民が水辺へ行けるように造り変えます。イザール計画は2005年にほぼ終了し、同年の連邦ガーデンショウでお披露目をする予定です。今後数年間は、イザール計画の成功の度合いを見るために、川の形態の変化や生息する動植物の生息の変化も含めたモニタリングが行われます。







第二部:日本の河川行政とドイツから学ぶもの    竺 文彦(龍谷大学教授)

 ドイツに1年間研究されて3月末に帰国された竺教授は、ドイツ北部のアーヘンとバイエルン州の第3の都市アウグスブルグの2ヶ所で滞在されていました。専門は排水や廃棄物の処理ですが、日本とは違うドイツやスイスの生物を重視した近自然工法に興味をもたれたということで、スライドで視察された河川を紹介しながら、河川改修の技術だけでなく社会システムや環境に関する考え方の違いなども説明して頂きました。

 アイリカさんの携わっているイザール川の紹介では、カヌーの練習場や水路にまたがっている水位差2mのこじんまりした水力発電所や白鳥が飛来している冬の風景等、日本で考えると改修の必要のないような自然な川の風景ばかりでした。アルプスの渓流であるスイスの川の特徴は、倒れた木もその状態のまま(但し、流されないように固定してある)で、自然の石を固めた水制(川の流れに対して直角の堤防のようなもの)を造り、流れの速い川に変化をつけ、魚が住めるようにし、また砂防ダムは魚が迂回できるように魚道が設置してありました。スイスでは道路を建設する→自然が破壊される→破壊した面積だけ他で自然を復元する、という興味深い法律があるそうです。またロイス川という河川改修は、1案〜4案の工事方法と費用を立て看板で知らせ、住民投票で決定するという直接民主主義で行っていました。

 ドイツの自治体に環境対策について質問に行くと、担当者は自慢げにわが街の政策を紹介してくれたそうです。国は枠組みのみで具体的には地方独自で決定していく為、その地域に適した方法が考えられます。また、河川の専門家、ごみの専門家達が長年携わっており、いろいろな問題が起こっても責任を持って対処することが出来ます。一方日本の行政は異動が多いため専門家が育ちません。専門的な技術は民間会社に頼らざるをえなくなっているという現状です。技術と補助金が国から下ろされて、市町村はマニュアルに従って建設したり、施工したりすることになってしまいます。そのため川はどこへ行ってもブロックで覆われた真っ直ぐな川になってしまいました。日本の行政システムは限界にきており、根本的に改める段階に来ているのではないでしょうか。







第三部:パネラーの紹介とパネルディスカッション

  コーディネーター:竺 文彦

パネラー:アイリカ・ヘスリンガー、加本 実(滋賀県土木部河港課長)、遊磨 正秀

(京都大学生態学研究センター)、栗林 実(レッドデータブック近畿研究会)



 まず、パネラーの紹介です。実際に琵琶湖周辺の河川改修に携わっていらっしゃる、加本さんは、滋賀の川は天井川や勾配のある川が多く、イザール川のような近自然にすると川幅が必要なため膨大な土地が必要である等、年間降雨量や河川の水量を的確に述べられイザール川と滋賀の河川の違いをわかり易く説明されました。         

 ホタルダスでも有名な遊磨さんは、日本の水系を考えるときは、本線の大きな川ばかりでなく、家の周り、田んぼの水系を見逃してはいけない。自然水系と同等なだけの人口水系が存在している。自分の身の回りがどのような水系か是非調べてみて欲しいと力説されました。

 琵琶湖を含めた近畿各地の植物を隈なく歩いて調査されている栗林さんは、滋賀の河川周辺には希少植物が豊富にあり、それらの河川から植物の種子が流入される琵琶湖から淀川水系もまた、全国レベルの「原野」の宝庫である。それらを保全するための河川改修は、完成した他自然型ではなく、川自身がかってに落ち着いてくれるような入れ物を造ってやるべきである―――まさに、イザール計画が目指している、”成長する岸辺”ではないでしょうか!!

 以上のパネラーの意見を基にしながら、ディスカッションは進められましたが、議題は主に河畔林(川辺林)について話されました。河畔林は保護するべきか、過保護では意味がないのではないか。日野川の例では維持管理が大変なので竹林の河畔林を伐採したが、NGOが協力すればよいのでは?しかし、本当に河畔林は治水の機能があるのか?H9年の河川法改定では洪水の流れを阻害するとなっている。しかし、流れを遅くするのも事実である・・・・。私達、視聴者もだんだんと熱くなってきました。

会場からの質問は河川改修は必要なく、自然に任せればいいという大胆な意見や、身近な河川の改修について、当初の改修計画と違っているのはなぜかという質問に対し、コスト的な面等の理由は必ずあるはずだから、どんどん施工側(県)に費用や工法について質問し、市民が追求と協力をしなければならない、そして次世代に残っていく川を市民が支えなければならない。というコーディネーターの言葉でシンポジウムは終了しました。





最後に:

 琵琶湖と沢山の河川に囲まれている滋賀は、さすがに興味を持っている方が多く、アンケートでは色々な意見を頂き、よかったという感想を持って頂きました。しかし我々の時間配分がうまく行かず、盛り上がっていたパネルディスカッションが少し欲求不満で終わってしまいました。会場からの質問ももっと受け入れたかったのですが残念ながら全ての意見をお聞きすることが出来ませんでした。ほとんどの参加者の方が次回もまた参加したいという意見でしたので、反省と希望を持って次回に望みたいと考えています。







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県下の動き(5/1〜5/31)

3 西日本鉄道高速バス 17歳少年が乗っ取り 4日逮捕

8 八日市の「河辺いきものの森」に空中遊歩道完成

8 日野町鳥居平の産廃違法投棄 県が行政代執行

8 栗東の硫化水素検出問題 石こうボードが一因 県の調査委員会

10 「森林発電プロジェクト」実行委員会が発足 彦根県事務所

11 太陽光発電システム 環境教育に活用 国際情報など2校に導入 (朝日)

12 廃食油燃料のトラック導入へ 野洲町 エコライフ浸透に貸し出し(京都)

12 淀川のイタセンパラ激減 昨年調査で稚魚は149匹 (朝日)

14 「湖沼会議市民ネット」設立 代表に日高敏隆県立大学長選出

              会費個人3000円 大学生1500円 子供500円

              事務局 077-568-4574

16 志賀の国有林保護へボランティアと協定 26?対象、湖国で初の締結(京都)

21 「続・よみがえれ ふるさとの川」シンポジウム開催 環境ネット

22 経済効果は88億〜387億 びわこ空港 県の経済アセスメント

23 徳山ダム きょう本体着工 構想から43年 利水目的、疑問残す (朝日)

26 弟33回全国ホタル研究大会守山大会 3日間の日程で開催

26 豊島 公害調停に合意 処理費約300億円 県財政負担

27 環境ビジネスネットで支援 県産業プラザ 

              ホームページ 来月からテスト運用 (京都)

28 県内各地でごみゼロ大作戦

29 民有林保護へ役割ごと3区分 農水省検討 

              「保全林」「共生林」「生産林」 (朝日)

29 「再評価で見直し」経った2% 公共事業 (読売)

31 「反対地区との話し合い大詰め」 びわこ空港 県議会委で整備局長

31 甲西町内申請の産廃中間処理は不許可 県

31 行政代執行で産廃撤去に着手 和歌山県 ダイオキシン関連で全国初



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