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2008-06

石組みの川復活プロジェクト&よしよしプロジェクト報告

石組みの川復活プロジェクト&よしよしプロジェクト報告



6月21日(土)は、昨夜からの雨で心配しましたが、午前10時からの石組みの川視察は小雨でほぼ予定通り実施したあと、比良の里人の水質調査に参加しました。

参加者は13名

(FLB)寺川、西村正、松田、川南、竺、奥、仲津

(みどり)石塚

(里人)平出、熊野

(自治会)石塚賢

(水機構)中園

(一般)江副



<視察結果>

・破損している箇所は数箇所

・放置すれば進行する

・修復された箇所も見られた

・工法についての検討が必要

・作業は比較的水を使わない秋から冬場が良い

・県、市、地元関係者との話合い、理解を得る



午後の、よしよしプロジェクト中浜は雨もあがり、帰る人もありましたが、新たに2

名加わりFLB(寺川、西村、松田、川南、多田、目野)と水機構(中園)の7名での

観察と作業になりました。



<観察>

・初期の植栽場所はほぼヨシが定着したが、奥行きはまだ不十分 

・3期、4期の場所では、定着が進んではいるが、まだまばらで帯状にはなっていな



・湖岸よりは、定着が見られず失敗している(一部の定着は、ラーゴの実験)

・消波提は、粗朶の流失と腐食が進行し水面下に残っているだけ

・粗朶消波提の損壊の影響か、堆積した砂の流出が進んできた



<作業>

・竹筒から出ているヨシが筒いっぱいにつまっており、竹筒を除去する

・新たに、現場近くのヨシを10株程度移植する



<課題>

・粗朶消波提の修復

・定着しなかった場所への植栽



参加者の皆さんご苦労様でした。

感想やご意見がありましたらお願いします。









「緊急シンポジウム97年河川法改正はいかされていない」

「緊急シンポジウム97年河川法改正はいかされていない」報告



FLB代表 寺川庄蔵



6月10日(火)、東京の第2議員会館で「公共事業チェックを求めるNGOの会」(天野礼子・主催)の淀川水系流域委員会の継続を求める緊急シンポジウムがあり、FLBの代表として出席してきました。

 シンポジウムには、亀井静香国民新党代表代行、菅直人民主党代表代行、前原誠司副代表他、各国会議員と五十嵐敬喜法政大学教授、そして、淀川水系流域委員会前委員長の今本博健京都大学名誉教授、天野礼子代表というそうそうたる陣容で、関西マスコミもきていました。鳩山由紀夫民主党幹事長は国会の関係で欠席でした。

 内容は、短時間でしたが、中味の濃いものでダムや公共事業の問題について、重要な時 に来ているとして、それぞれに今必要なことを明確に話され大変勉強になりました。

 以下、報告します。

シンポジウムの案内

緊急シンポジウム「97年河川法改正」はいかされていない



主催:公共事業チェックを求めるNGOの会 共催:公共事業チェック議員の会

日時:2008年6月10日(火)13:00?14:30

会場:国会第2議員会館第4会議室



<シンポジウムの趣旨>



 1997年に亀井静香建設大臣によって河川法が改正され、「住民対話」と「環境重視」が取り入れられました。これにより、河川整備計画原案の策定に際し、有識者の意見を聴くための「流域委員会」が全国の水系ごとに設置されるようになりました。素晴らしいこ

とです。

 ですが、実態はほとんどの委員会がこれまでの政府の各種委員会と同様の役所のお手盛りで、日弁連は「法の要件を満たさんがために形式的に設置されたとしか評価し得ないものが大半である」と厳しい指摘をしています。

 そうしたなかで、唯一の例外ともいえるのが近畿の「淀川水系流域委員会」です。

 同委員会は、2001年2月に設置されましたが、第三者組織により選出された委員により自主的に運営されてきました。6年にわたる真摯な議論を経て、「住民の生命と財産を守る」という治水の使命を真に達成するには、“基本高水”を根幹とする従来型治水を、それに捉われない新たな治水に転換する必要がある」との意見を出したのですが、2007年1月に突如休止されました。

 同委員会は、ほぼ半数を新たな方法で選出された委員に代え、2007年8月に再開されました。現在、提示された「整備計画原案」に対し、「ダムの必要性の説明に納得できないところがある」として再説明を求めていますが、経費多額を理由として再び休止されようとしています。

 顧みれば、1988年に長良川河口堰反対が始まり、その後に各地でダム反対運動が起こり、それが1997年の河川法改正、そして2000年の亀井静香自民党政調会長の働きかけによる全国223の公共事業の大量中止へとつながって、今があります。

野党勢力による“政権交替”が目前に見えてきたいま、私たち日本人が21世紀へ向かってもつべき河川と公共事業に対する思想を再点検する緊急集会を提案致します。

各社記者の皆様の御参集もお願い致します。



                 <メニュー>



挨拶  鳩山由紀夫(「公共事業チェック議員の会」会長)5分

・「淀川水系流域委員会に“河川法改正”の趣旨は活かされているか」15分

    今本博健(淀川水系流域委員会前委員長/京都大学名誉教授)

・「私は何故、河川法を改正し、223の公共事業を止めたのか」15分

    亀井静香(「国民新党」代表代行)

・ パネルディスカッション 「“97年、河川法改正”を活かすために」40分

    パネラー  五十嵐敬喜(法政大学教授)

          菅 直人 (民主党副代表)

          前原 誠司(民主党衆議院議員)

    進行    天野 礼子(「公共事業チェックを求めるNGOの会」代表)

・記者さんからの質問受けつけ 10分



シンポジウムの内容



天野代表の司会でメニューに沿ってすすめられ、鳩山由紀夫民主党幹事長は国会の関係で欠席となりましたが、他のメンバーはすべて出席し、限られた時間でしたが、スケジュールに沿って話されました。

その要旨は以下です。



●天野礼子代表

 天野と五十嵐氏で菅さんに話し、当時の亀井建設大臣が1997年に河川法を改正した。それが生かされていないじゃないか、というのが今日の集会。長良川河口堰の時、所長だった宮本さんが淀川での働きがあり、前原、菅さんと相談して今日の緊急集会を開いた。

●今本博健京都大学名誉教授 (詳細資料添付) 

今、河川が問題になっている。八場、川辺川・・・。淀川で、河川法の趣旨は活かされているか。97年河川法改正で新たに2つ、環境と住民参加が加わった。準備会議からのながれすばらしい準備委員だった。委員会に地域の特性に詳しい委員が参加。委員会がめざしたものは、これまでのやり方を根本的に変えようでした。環境を守る、治水の考え方は、壊滅的な被害をなくそう、利水は水需要管理へ、利用も河川敷の利用のあり方を見直す。

問題になっている治水で、ダムは終焉期を迎えつつある。河川行政は今揺らいでいる。公共事業批判、環境によって。

長良川河口堰が1995年運用、河川法改正(1997)、淀川流域委員会は(2001年設置)、6年間何をしていたのかとの批判があるが、当局が原案を示されなかったからだ。しかし、議論はさんざんしたことは活かされた。

信頼関係を破ったのは整備局、ダムの方針を記者発表したり、新局長の着任早々に委員会の休止を発言するなど信頼をそこねるようになった。現在第3次委員会だが、これまでと違い最終的には管理者が選んだが、がんばっている。そこには、宮本委員長の出現がある。しかし、またもや休止の声がでている。これからは政治家ががんばってほしい。

●亀井静香議員

建設大臣のとき、長良川河口堰で天野さんに殴りこみをかけられ、河川担当者に指示し全国の話を聴き、川を守るため河川法を改正した。政調会長のとき、4原則の見直しで全部切れと指示したが、役人は、先輩のやったことはやめられない習性がある。しかし、農林、建設が便乗してきた結果、223公共事業、2兆8千億円切った。要は、政治がしっかりすれば、やる気になれば何でもやれる。問題は、その力学をどう作るかだ。今は、よこしまな内閣のためできないが、次の選挙でひっくり返す。よこしまな政治では役人も政治がやりにくい。洞爺湖サミットがあるが、日本は地球環境守るためやるよ。そういう力強い発信をしないと人々の心を打たない。そういうリーダーシップを取れないのが現状だ。

●菅直人議員

「公共事業コントロール法」は、成立までは至らなかったが、亀井大臣で河川法改正が実現した。今、道路問題でやってきたが、河川も、農水も同じ構図があり、OBが決めたことを絶対視してやっていく、押し通すのが役人だ。民主党は、先ずは国と地方の配分を変えていこう、河川も県に移していこう、整備局も財源と権限を移していく。例えば、ドイツのように、アウトバーンは国、それ以外は県でやっている。河川も基本的に県に移していく議論をしているところである。

●前原誠司議員

公共事業に対する法案を作る必要がある。「みどりのダム法案」は、一旦凍結して2年かけて見直すというもの。川辺川ダムは、1976年計画、利水、農水、治水で来たが治水しか残らず、経費も当初予算の350億から2,000億以上おそらく3,500?4,000億円かかるだろう。川辺川も徳山も、やったものをやり続けるのではなく、議論が必要だ。鳥取県の片山知事はダムを止めたが、役人が当初ダムが安いといってきたので後で責任を問うといったら、堤防強化の方が安いといってきた。ダムありきではダメだ。

この国会で、淀川流域委員会の質問をする。1つは、平成17年に大戸川ダム必要ないといいながら、2年もたたないうちに必要に変わった。説明責任がない.2つには、河川法が改正され、淀川流域委員会がつくられた。その委員会を無視し、かつつぶそうとしている。このような結論ありきの暴挙を許してはならない。

●天野代表

政治家にできることは、官僚の暴走を止めること。官僚は先輩がいるから決断できない。

●五十嵐敬喜教授

223止めた。公共事業中興の祖は亀井さんだ。権力者側から止めたのはこれまでない。道路は法がまったくダメ。四全総案中曽根内閣から、自治体は全滅状態、滋賀県あるが・・・。世間の大勢は転換せよだ。

●天野代表

当時の河川局長小田さん、今パリにいるが天下りしなかったのは彼と宮本さんくらいだ。亀井さんのとき「自然再生推進法」つくったが、趣旨が生きていない。住民意見が反映されていない。

●亀井議員

この問題の基本には日本人の国民性がある。役人の天下り先確保強い。公共事業は基本的に生活のために整理する必要がある。

純ちゃん(小泉)が悪い。緊縮財政ではない。馬鹿なことした。年寄りと地方に金を出さない。予算が510兆円から6年で600兆円するところを503億円に減ってちじんじゃった。これをマスコミが支持した。これを始末すればいい。国家の基本間違えたら大変なことになる。公共事業は必要なことはやっていくことが大事だ。

鹿児島の例で、土石流の危険地帯に砂防ダム造った。その後の雨でなければやられていた。福祉大事だが公共事業ダメはいけない。地方が貧しくなっているからダム造ってくれとほとんど手を挙げる。大事な視点は、そこに住んでいる人がどうしたら幸せになれるか、である。自分たちの飯の種の予算消化が役人の習性。突破するには、敵にするのではなく、一緒に考えることが大事だ。政治がしっかりしていけば良い役人もいる。

●天野代表

丈夫な堤防だったら新潟災害はなかった。

●今本名誉教授

公共事業全部ダメとは考えていない。天下りしなかったのは小田と宮本だけ。ダムで助かった事例は一つもない。それだけの雨が降っていない。やはり堤防強化が必要だ。

●亀井議員

冬柴大臣に、あなたになって河川法やっていないと言おう。

<ここからマスコミ質問>

●野田(毎日)

河川法精神なぜできなくなったのか。

●亀井議員

純ちゃん(小泉)の性だ。地方の声大事にしてこなかった。

●五十嵐教授

最後のあがきだ。政官財トライアングルの。

●亀井議員

地方の唯一の地場産業が土建家、社長給料なしでも首切れない、とにかく仕事ほしい。

ムダな公共事業しなくても地方に光が必要だ。どう解決していくかを示すのが政治だ。

(ここで亀井氏退席)

●目黒(京都)

淀川流域委員会止められた影響は。

●天野代表

止めさせないために集会をした。権化の人集めた。産経含めて書いてくれた。亀井さんいい話して帰った。

●五十嵐教授

大勢として(止めることは)できない。

●天野代表

この会場は14:30まで。延長できないのでここで閉会する。

?12:45?







080610緊急シンポジウム(衆議院第二議員会館):97年河川法改正は活かされていない!!



淀川水系流域委員会に河川法改正の趣旨は活かされているか

淀川水系流域委員会・前委員長/京都大学名誉教授 今本博健

1 淀川水系流域委員会の経緯

淀川水系流域委員会は、改正河川法による河川整備の新しい理念の具体化と充実し

た住民参加手続きの実施について「並々ならない強い改革の意欲」をもった当時の淀

川水系の河川管理者によって、河川整備基本方針の審議日程すら未定であった2001

年2月に、53名の委員を擁する委員会として設立された。

この種の委員会では「原案」の提示を出発点として審議するのが普通であるが、こ

こでは河川整備のあり方あるいは原案に盛り込むべき内容などから議論が始められ

た。そこには適度な緊張感のもとでの委員会と河川管理者との連携があった。委員会

が発表した「提言」や「意見書」の根底には両者間のキャッチボールがある。第一次

委員会は4年(当初予定は2年)の委員任期を終えて幕を下ろしたが、この間、河川法

改正の趣旨は「よく活かされていた」といえる。

委員数を28名に縮小し、その半数を新規委員が占める第二次委員会が2005年2月

に発足したが、ダム問題と休止問題に翻弄された。2005年7月には新任の近畿地整河

川部長が委員会を無視するかのように記者会見で「淀川水系5ダムについての方針」

を発表し、2006年10月には近畿地整局長が新任の記者会見で「委員会を休止する」

と発言したからである。委員会は困惑・反発したが、過酷なスケジュールのなかで意

見をとりまとめ、2007年1月末に休止された。この間、上層の河川管理者への信頼感

は揺らいだものの、実務担当者との連携は保たれ、河川法改正の趣旨は「かろうじて

活かされていた」といえる。

その後、2007年2月に設置された淀川水系流域委員会レビュー委員会、同年5月に

設置された委員候補推薦委員会を経て、同年8月に第三次委員会が発足した。

作成の目途が立たないとされていた整備計画原案が委員会の再開に合わせるよう

に提示され、現在その審議が行われているが、「これまで積み重ねられてきた審議が

反映されていない」あるいは「原案の説明に納得できないところがある」として原案

の再提示を求められた河川管理者は経費を理由とした見切り発車を仄めかすなど、対

立に近い状態が続いており、河川法改正の趣旨は「ほとんど活かされていない」とい

える。

2 淀川水系流域委員会は何をしようとしたか



淀川水系流域委員会は、運用面では「淀川モデル」ともいうべき新たな方式の導入

をはかり、内容面では従来の整備方式を抜本的に改革した新たな方式に転換すること

を目指した。

2-1 淀川モデルの構築と実践

淀川水系の河川管理者である国交省近畿地整は、淀川水系流域委員会の設置に先立

って4人の委員からなる準備会議を設置し、流域委員会のあり方を諮問した。準備会

議は、今後の公共事業の計画づくりのモデルとなることを目指し、従来にない新しい

方式を導入することを答申したが、委員会の方式を発足後に取り入れたものをも併せ

て示すと、つぎのようである。

?第三者組織による「地域の特性に詳しい者」を含む委員の選出

?委員会による自主的な運営とそれを保証するための庶務業務の民間への委託

?徹底的な情報公開と透明性の確保

?幅広い意見の聴取

?従来にない審議のプロセス

?委員自らによる「とりまとめ」の執筆

これらのうち、?から?は準備会議の答申を反映したものであり、?および?は委

員会が自然発生的に取り入れたものである。

第一次および第二次委員会では、これらの方式がいずれも概ね全うされたが、第三

次委員会では、?の委員の選出に河川管理者が関与し、?は時間的制約から十分に行

われたとはいえず、?にいたっては整備計画原案の提示が出発点になるなど、空洞化

も見られる。

2-2 新たな河川整備

(1) 委員会の提言

これまでの河川整備により治水および利水の安全度は高められたものの、その一方

で、河川環境が破壊された。住民の環境問題への意識の高まりと無駄な公共事業への

批判から、河川整備にも厳しい目が向けられるようになっている。

委員会は、こうしたことを背景にして、これまでの河川整備を抜本的に改め、新た

な河川整備に転換することを提言した。すなわち、

?治水と利水を中心とした河川整備を、河川や湖沼の環境の保全・再生を重視する

ものへ

?一定限度の洪水に対する水害の発生防止という目標を、いかなる大洪水に対して

も壊滅的被害を回避するものへ

?水需要予測に応じた水資源開発を、水需給を一定の枠内でバランスさせる水需要

管理へ

?人間を中心とした利用を、河川生態系と共存するものへ

?行政主導の計画策定を、多様な意見を聴取・反映した計画づくりへ

という大転換である。

(2) 治水についての考え方



これまでの治水計画は、ある計画規模(年超過確率)の降雨による洪水(基本高水)に




対して、被害の発生を防止するため、河道を経験的に定めた計画高水位以下で安全に

流し、流しきれない分をダムで調節するようにしている。

こうした従来型治水にはつぎの欠陥がある。

?根幹的欠陥:計画規模を超える降雨があれば破綻する。

?致命的欠陥:計画を達成するのに、長い時間と莫大な経費を要し、環境にも悪影

響を及ぼす。

?構造的欠陥:計画の一方の柱であるダムの適地がなくなり、やがてダムに頼れな

くなる。

新たな治水では、こうした従来型治水の欠陥を抜本的に解消する必要があるが、つ

ぎのようにして解消をはかろうとしている。

?根幹的欠陥の解消:いかなる洪水をも対象に、住民の生命を守るための警戒避難

体制をまず確立するとともに、壊滅的被害の回避を目的として、たとえば耐越水

堤防のように、基本高水を超える洪水にも治水機能を失わない対策を採用する。

?致命的欠陥の解消:基本高水に捉われず、短期間で確実に実現できかつ河川環境

に重大な影響を及ぼさない対策を着実に積み重ねることで、治水安全度の段階的

な向上をはかる。

?構造的欠陥の解消:河川治水に加えて、流域の保水・遊水機能の確保、適正な土

地利用の促進、二線堤や輪中堤による氾濫水の制御などの流域治水を併用し、持

続性のある治水とする。

従来型治水では、整備計画の対象洪水として戦後最大洪水のように基本高水より小

さな洪水を暫定的に採用し、計画の達成の目途がつけばより大きな洪水に引上げるこ

とで基本方針との整合をはかっている。これに対して、新たな治水では、時間的・技

術的・財政的な制約のもとで対応できる限界の洪水を暫定的に採用することで、基本

方針との整合をはかろうとしている。従来型治水と新たな治水の違いは、前者では対

象洪水から対策を決めようとしているのに対し、後者では実現可能な対策から対象洪

水が逆算的に決まることである。

なお、ダムが洪水調節に一定の効果をもつことは確かであるが、計画を超える洪水

には調節機能が低下・消失する、ダムの集水域以外の降雨による洪水には機能しない

など、効果は限定的であることに加えて、社会および自然環境に及ぼす影響が大きい

ことも見逃せない事実である。したがって、ダムは他に有効な方法がない場合の最後

の選択肢とすべきである。

3 揺らぐ河川行政



1995年に長良川河口堰の運用が強行されたが、市民の環境への意識の高まりと無駄

な公共事業への批判を受け止めるため、1997年に河川法が改正され、「河川環境の整

備と保全」が法目的に加えられるとともに、「地域の意見を反映した河川整備の計画

制度の導入」がはかられた。2000年にはダムを含む223の公共事業が凍結・中止さ



れ、2001年には「自然再生推進法」が成立した。国の河川行政は新たな方向へと大き

く舵を切ったのである。

しかし、新たな河川整備計画の策定手続きが河川管理者の裁量に委ねられたため、

意欲次第で改正の趣旨が活かされないことが起こり得る。起こり得るどころか常態化

しているとさえいえる。

例えば、日弁連公害対策・環境保全委員会は、2005年12月に大阪で行われた同委

員会主催のシンポジウムで、全国の流域委員会の実態を調査した結果を、「河川整備

基本方針が策定された河川については、もれなく河川法第16条の2第3項による学

識経験者の意見を聴くための組織(流域委員会等)が設置されており、また、基本方

針策定以前から流域委員会等が組織されている河川(水系)も散見された。しかしな

がら、その設置・活動状況の実態を見るに、単に法の要件を満たすために形式的に設

置されたとしか評価できないものがその大半であり、この設置を求めた法の趣旨が反

映されているとは到底言い得ない状況であった」と報告している。河川管理者は河川

法の改正を「骨抜き」しようとしているのである。

同様の揺らぎは河川堤防の補強にも見られる。

河川堤防は洪水の氾濫を防ぐうえでの最後の砦であり、その意味において最も重要

な河川構造物である。ところが、一見頑丈そうに見える現在の堤防は土や砂を盛上げ

ただけのものであるからきわめて脆弱であり、越水すればもちろん、侵食や浸透によ

って容易に破堤し、それが壊滅的な被害の原因になっている。

河川管理者もこのことをよく認識しており、1998年には堤防補強を重点施策に取り

上げ、2000年には越水を対象とした難破堤堤防を河川堤防設計指針に位置づけ、雲出

川や那珂川などでは実施までされた。ところが、2002年に突如として難破堤堤防につ

いての規定を指針から削除し、現在に至っている。熊本県が主催した住民集会で、「越

水に耐える堤防補強をすれば川辺川ダムは不要ではないか」との意見が影響したとの

憶測を呼んでいる。

耐越水補強を実施しない理由として、河川管理者は「工法が確立されていない」こ

とを挙げるが、厳密にいえば、耐侵食あるいは耐浸透についても同じことがいえる。

一方ではそれを無視して実施し、一方ではそれを理由に実施しようとしない。もし、

ダムをつくろうとするために耐越水補強をしないとすれば、それは許されない「行政

の不作為」である。

一旦は「新たな方向」を目指した河川行政が、いま再び「従来の方向」に逆戻りし

ようとしている。「舵」を本来の方向に切り直させられるのは「政治」しかない。河

川法改正の趣旨を活かすか、活かさないか、それは政治家の意欲が決めることになる。

官僚支配を打破し、河川を国民の手に取り返すことは、政治家に課せられた重い責任

ではないだろうか。



淀川水系流域委員会の経緯

1995長良川河口堰の運用開始

1997河川法の改正

2000準備会議の設置

2001第一次委員会の設置

・提言・基礎原案への意見書・ダムについての意見書

2004第二次委員会委員候補選考委員会

2005第二次委員会の設置

・ダム方針発表・休止発言・活動のとりまとめ

2007レビュー委員会

2007第三次委員会委員候補選考委員会

2007第三次委員会の設置

・原案提示・意見の中間とりまとめ・知事説明会

委員会は何をしようとしたか:淀川モデルの構築と実践

淀川モデルとは

?第三者組織による「地域の特性に詳しい者」を

含む委員の選出

?委員会による自主的な運営とそれを保証する

ための庶務業務の民間への委託

?徹底的な情報公開と透明性の確保

?幅広い意見の聴取

?従来にない審議のプロセス

?委員自らによる「とりまとめ」の執筆





委員会は何をしようとしたか:新たな河川整備を目指して

新たな河川整備を目指した提言

?治水と利水を中心とした河川整備を、河川や湖沼の

環境の保全・再生を重視するものへ

?一定限度の洪水に対する水害の発生防止という目標

を、いかなる大洪水に対しても壊滅的被害を回避す

るものへ

?水需要予測に応じた水資源開発を、水需給を一定の

枠内でバランスさせる水需要管理へ

?人間を中心とした利用を、河川生態系と共存するも

のへ

?行政主導の計画策定を、多様な意見を聴取・反映し

た計画づくりへ





従来型治水の欠陥

これまでの治水は、ある計画規模(年超過確率)の降

雨による洪水(基本高水)に対して、被害の発生を防止

するため、河道を経験的に定めた計画高水位以下で流

し、流しきれない分をダムで調節するようにしている。

こうした従来型治水にはつぎの欠陥がある。

?根幹的欠陥:計画規模を超える降雨があれば破綻す

る。

?致命的欠陥:計画を達成するのに、長い時間と莫大

な経費を要し、環境にも悪影響を及ぼす。

?構造的欠陥:計画の一方の柱であるダムの適地がな

くなり、やがてダムに頼れなくなる。

委員会は何をしようとしているか:新たな治水

?根幹的欠陥の解消:いかなる洪水をも対象に、住民

の生命を守るための警戒避難体制をまず確立すると

ともに、壊滅的被害の回避を目的として、たとえば耐

越水堤防のように、基本高水を超える洪水にも治水

機能を失わない対策を採用する。

?致命的欠陥の解消:基本高水に捉われず、短期間で

確実に実現できかつ河川環境に重大な影響を及ぼさ

ない対策を着実に積み重ねることで、治水安全度の

段階的な向上をはかる。

構造的欠陥の解消:河川治水に加えて、流域の保

水・遊水機能の確保、適正な土地利用の促進、二線

堤や輪中堤による氾濫水の制御などの流域治水を

併用し、持続性のある治水とする。

揺らぐ河川行政

■いったんは新たな河川整備に向けて大きく舵

を切った。

・1997河川法改正

・2000休眠状態の223公共事業を中止

・2001自然再生推進法成立

■だが、いま再び従来型の整備に逆行しようとし

ている。

・依然としてダムを中心とした河川整備を強行

・さまよう耐越水堤防の取扱い

・流域委員会の形骸化

■これを正すのは政治しかない。








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